前回に続き、寝たきりの拘縮予防についてです。
長いですが最後まで読んでいただければ幸いです。
寝たきりの方の拘縮進行には、普段の寝ている姿勢がかかわってきます。
拘縮を進めづらいような姿勢というのがあるのです。
そして、さらに同じ姿勢を長時間続けないということも重要で、そのためにはなるべくこまめな
体位変換が必要になります。
・拘縮を進めづらい姿勢の設定
・横向き(左右)、仰向けなど、体位のこまめな変更
拘縮を進めづらい姿勢とは、
「体のねじれが無い(少ない)状態」であり、かつ「重力に(なるべく)逆らわない姿勢」です。
まず「体のねじれが無い(少ない)状態」ですが、
体にねじれがあると、ねじれのある部分で血行が阻害されます。
またねじれていることで特定の筋肉に持続的な収縮が生じ、その筋肉が硬くなってくることが
考えられます。
そこで、からだのねじれが極力ないような姿勢にもっていきます。
そして「重力に(なるべく)逆らわない姿勢」とは、言いかえると「安定した姿勢」です。
立っている時を例にします。
人は、体にある「抗重力筋」という重力に対抗する筋肉たちが働くことで立っていられます。
重力線に沿って正しく立っている時は最小限の抗重力筋の収縮で立っていられるのですが、
例えば、立ったまま(足の位置を動かさないで)首を曲げずに少しずつ頭を後ろに倒していくと
どうでしょうか?
だんだんいろんな筋肉が頑張りだしてきつくなってきますね(特に後ろ側の筋肉が)。
体全体にも力が入ってきます。
不安定な状態をなんとか保持しようとする現象です。
このように重力に逆らう不安定姿勢は、余計な筋肉をがんばらさせ体を固めてしまう姿勢といえます。
このとき、後から体全体を支える背もたれを付けてあげると、安定して力が抜けてきますね。
寝ている時でも最小限の抗重力筋を働かせるよう、なるべく重力に逆らわない姿勢を取ってあげる
ことで、筋肉が無駄な収縮をすることなく緩むことができます。
たぶんご本人も楽なはずです。
そのような、捻じれが無く、また安定した姿勢を設定できたとして、
それでも、同じ姿勢のまま長時間いるとやはり特定の筋肉にどうしても負担がかかるので、
こまめに別の体位(仰向けだったら横向きなど)に変えてあげることも必要になります。
これは床ずれ予防にもなります。
新しい体位ももちろん「良肢位」です。
さらにいえば、寝ている時間ばかりではなく起こしている時間(座位)を作ることが理想です。
でもこのような理想的な良肢位の保持とこまめな体位変換を実施するには
実際はなかなか状況が許さない場合が多いですね。
こまめな体位変換はご家族の大きな協力が必要になってきますし、すでに拘縮が重度に
進んでいる場合の良肢位保持は「できる範囲で」ということになるかと思います。
それでも
「重度な寝たきりにしない」
この理想はできる限り追求したいと思っています。
おわり
訪問リハビリマッサージ 治療室リハネット
posted by リハネット at 12:38|
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